2006/03/08

大切な物

昨日、なんとなくテレビを見ていたらとても素敵な番組に出会った。
NHKの「発見 ふるさとの宝」という番組
そこには島根の小さな小学校の子供たちと日本海を航海するフェリーの乗務員との心のふれあいがあった。
ある日、授業中に一人の生徒が遠く日本海を渡る白い船を発見し、その白い船あてに手紙を送ったことから始まった交流の物語だった。
手紙を受け取ったフェリー側からもその小学生たちの気持ちに向けて温かい返事を送り返したという。
それ以来、互いに小学校の沖を通過する午前10時半に合わせて双眼鏡を覗いてみたり、手を振り合ったり、と交流が学校の楽しみの行事となっていった。
そんな中、フェリーが廃止になりそうだという危機が訪れた。
そこで小学校の生徒たちはフェリー会社あてに「フェリーをなくさないで」という気持ちをこめて大きな寄せ書きを送った。
寄せ書きを受け取ったフェリー会社の人も「子供たちの夢をなくしてはいけない」という思いにかられ、わざわざ北海道から島根の小学校まで訪ずれてきた。
そこには2台しかない双眼鏡で嬉しそうに覗いて見ている生徒と、双眼鏡を見ることのできない寂しそうな生徒の姿があった。
それを不憫に思ったフェリー会社の人は小学校の生徒全員(といってもたぶん15人ぐらい)に双眼鏡を贈ってきた。
生徒全員の楽しみになった。

その後フェリーの廃止は取り消された。

後に小学生たちは念願のその大きな白い船に乗ろうと島根から函館まで訪れる。
大きな白い船。たくさんの嬉しそうな顔。
午前10時半
島根の小学校沖が近づく。
フェリーから自分たちの小学校を見つけだす。
その嬉しそうな顔は光っていた。
そこへ地元のお父さんたちが遠く漁船から近づいてきた。
大きく大きく手を振っていた。

最初の交流は7年も前のことだそうだ。

こんなふうに人と人が繋がっていけたならどんなに素晴らしいことだろう。
そんな小さな気持ちを大事に思える大人になりたいと思う。


小学校3年の冬休み、愛媛県の伯方島から今治へ引っ越す日、私はフェリーの先頭に立った。
見送る友達に渡された色とりどりの紙テープを手に「バイバーイ」と大きく手を振ってさよならをした。
フェリーの乗務員さんが大きな大きな音で「蛍の光」をかけてくれた。

フェリーで1時間10分とそう遠くはない距離が小学生の子供にとってはとても遠くに感じた。
そんな光景は今になっても鮮明に覚えている。これもきっと乗務員さんのおかげなんだろう。
 

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